酢と塩の絶妙な関係

これは、食品の水分をある程度引き出し、表面の組織を柔らかくして酢が食品になじむようにするためです。
塩をふっておくと水分が引き出されてくるのは浸透圧によるもので、水分をしぼり出すことなく、はじめから酢につけると、酢が食品の水分を引き出して、味が薄まってしまうだけでなく、酢そのものが、食品の表面だけに薄くしみこんだようになりますので、酢の物の味がバラバラになってしまいます。
ただ、塩があまり強くても、かえって食品の持ち味を殺してしまいますし、酢もあまり材料の中まで入り込むと、酢の物ではなく、酢漬けになってしまいます。
そこで、この塩と酢のバランスがなかなか難しく、昔から味付けのこつといわれる「塩梅(あんばい・梅は梅酢のこと)」という言葉はここから出たものとさえいわれています。

